旧中仙道奈良井宿 宿から通りを観る
旧中山道の奈良井宿は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、街自体が地域展示そのものである。
その地域展示の、それも旧街道に面した宿に宿泊する機会に恵まれた。
部屋の広さ(狭さか?)といい、曇りガラスの障子戸を開けて眺める宿場通りの風情といい、趣き深い一夜であった。
地域を巻き込んだ松本市美術館の「草間彌生 永遠の永遠の永遠」展示も素晴らしい体験であったが、地域展示の一夜に身を委ね
るのも、中々である。
しかし、こうした宿泊施設はいろいろな意味で宿泊者の思い通りにはいかないことが多い。
利便性を優先させた現代の合理的な施設とは対極に位置するからである。言わば、ホテルなどに比べて不便さで成立しているような宿泊施設なのである。
地域展示の面白さは、その不便さを体感することでもある。つい数十年前の日本はそれが当たり前のことであったのだから。
「草間弥生 永遠の永遠の永遠」展に併せて運営されている水玉模様の市内循環バス。