午後9時頃の地下鉄車中をスターウォーズのスト−ム・トルーパーが歩いて来た。終点の中目黒駅ホームは撮影会状態で、カメラを向ける一人一人にポーズをとってくれ、撮影後は抱擁を繰り返すなかなか愛嬌のあるスト−ム・トルーパーであった。
人間の変身への欲望は、古今東西の文学にも絵画にも描かれてきた。しかし、人間は昆虫のように変態するわけでもないので、手っ取り早く仮装を手段として変身状態になろうとする。
誰もがスト−ム・トルーパーの仮装はしないが、誰にもある変身願望をもっとも身近に満たしてくれるのは祭りなどの催事であろう。
化粧、衣装、装具、祭具・・・・跳び、撥ね、踊り、音曲、声・・・ 歓声、奇声・・・・そして灯り、匂い。
変身への小道具から演出まですべては揃っている。
時々、陶酔状態にある踊り手の先達を目にする。おそらくはすでに変身しているのではなかろうか。そのような踊り手を観るとこちらもウキウキしてくるのである。
ところでスト−ム・トルーパーはあの装具のまま帰るのだろうか。仮装のための秘密の場所が何処かにあるのだろうか? ちょっと気になる。そういえば、あの顔は魚のシイラに似ている。神奈川沖でもシイラはよく捕れるらしいので、東横線で撮影会繰り返しながら横浜まで帰ったのかもかも知れない。