2012年4月アーカイブ
品川海雲寺本堂の天井は纏の絵で覆われている。
それにしても纏の意匠のなんと多彩なことか。
もっとも纏は火消し場所を示す目印としての機能を有し、自分たちの組を表すものなので、他との差別化を図る様々なデザインが生まれたのもうなずける。
江戸時代のデザインは、衣装、装具から瓦版、戯画、引札、千社札などの摺物、今日で言うグラフィックスであるが
実に多彩なデザイン展開を見せる。
この纏絵もまるでひとつひとつの箱に入ったオブジェのようでもあり惚れぼれするデザイン構成ではないか。
奉納額も多い。なかに浪曲師広沢虎造夫妻の奉納額があった。
昭和拾年拾弐月とある。年譜によればラジオで人気が沸騰していた広沢虎造が、初めてレコードを吹き込んだのが
この頃らしい。すでに浪曲界のスターであったようだが、レコードの成功を祈願して曲師の妻とともに奉納したの
だろうか。
奉納額もレリーフ、板絵、銭絵など工夫を凝らしたデザインも多く珍しいガラス絵の奉納額もあり、観る者を楽しませてくれる。
珍しいガラス絵の奉納額